感染した者を凶暴化させるメイズ・ウイルスという新種の病原体が蔓延した近未来のヨーロッパ。なかでもアイルランドの被害状況は壊滅的だったが、パンデミック発生から数年後、治療法が発見されたことで社会はようやく秩序を取り戻した。感染者のうち治癒した75%は“回復者”と認定され、治療効果が見られない残りの25%は軍が厳重に管理する隔離施設に収容されている。回復者のひとりである若者セナン(サム・キーリー)は社会復帰の日を迎えるが、街では彼らを恐れる市民が激しい抗議デモを行っていた。
セナンの身元引受人は、ジャーナリストである義理の姉アビー(エレン・ペイジ)だった。感染パニックのさなかに夫のルークを殺されたアビーは、深い喪失感に囚われながらもセナンを優しく迎え入れ、幼い息子のキリアンと対面させる。一方、感染者だったときのおぞましい記憶のフラッシュに苦しむセナンは、ルークが死亡した際の残酷な真実をアビーに打ち明けられず、その罪悪感に苛まれていた。
それでもセナンは新たな人生を踏み出すため、医師のライアンズ博士(ポーラ・マルコムソン)の助手として働き始める。収容中の感染者たちを安楽死させようとしている政府の方針に反対するライアンズは、隔離施設にこもって彼らを救うための新たな治療法の研究に没頭していた。
その頃、街では回復者を怪物と見なし、排除をもくろむ強硬派の市民による襲撃事件が続発していた。身の危険を感じた回復者のグループは密かに集会を催し、自分たちを虐げる社会への不満をぶちまけ合う。セナンを受け入れたアビーの自宅も差別的な嫌がらせの落書きをされた。
回復者同盟のリーダーは元弁護士のコナー(トム・ヴォーン=ローラー)だ。隔離施設で行動を共にしたセナンに特別な友情を抱いているコナーは、彼を執拗なまでに同盟に引き入れようとする。コナーへの恩義ゆえに一度は同盟に加わるセナンだったが、アビーやキリアンとの触れ合いにかけがえのない家族の温もりを感じた彼は、危険な過激思想に染まったコナーとの決別を選択する。それはコナーにとって許しがたい裏切り行為だった。
やがて社会への復讐テロを計画した回復者同盟のメンバーは、職員に成りすまして隔離施設に侵入し、兵士たちを次々と殺害していく。檻から解き放たれ、たちまち街にあふれ出した感染者の群れは、猛然と市民に襲いかかった。再び勃発した阿鼻叫喚のパニックのなか、「あの子を捜して!」というアビーの悲痛な叫びを耳にしたセナンは、キリアンが通う学校へと向かう。しかし、その行く手には無数に沸き起こる感染者のみならず、セナンへの憎しみを募らせて狂気に駆られたコナーが立ちはだかるのだった……。